骨による骨のためのカプリッチオ-惨劇の骨-

【書籍情報】

タイトル骨による骨のためのカプリッチオ-惨劇の骨-
著者岸田志貴
イラスト彩華
レーベルヘリアンサス文庫
価格200円+税
あらすじあたしがクリスマスに一番欲しいモノは彼の愛……じゃなくて、肉。
骨であるあたしはあなたの肉が食べたい――!
人肉を欲しがる骨が繰り広げる愛と性欲と食欲の狂騒曲。エロとホラーとグロ、ブラックなヘリアンサス文庫、登場。

【本文立ち読み】

骨による骨のためのカプリッチオ-惨劇の骨-
[著]岸田志貴
[イラスト]彩華

 

目次

骨による骨のためのカプリッチオ-惨劇の骨-

骨による骨のためのカプリッチオ-惨劇の骨-

銀杏が色付きだして厚手の上着を着るころになると、あたしはいつも出会い系サイトやマッチングアプリに片っ端から登録している。
もちろん、クリスマスを一緒に過ごす男を探すためだ。
今年は大当たり、若くて背が高くて大人しくて知的で、顔も問題ない男をわずか三日で吊り上げた。ちなみに彼は無職。よくわからない理由でリストラされたんだそうだ。
だけど、問題なし。彼の『お財布』は気にしない。すべてあたしが持つから。
なんでか、って? 後々、彼の全部を頂くんだもの。せめてもの御礼のキモチってところかしらね。自分でもよくわからないわ。
とにかく、クリスマスまでに彼をモノにしなければいけない。
超急いで何回かデートを重ねて親しくなって、さあ、ここからが本番。
ソレっぽく告白して、体だけの関係じゃない真剣な恋人を探している――つまり、彼氏彼女の関係に持ち込む。
「本当に俺なんかでいいの?」
カフェでコーヒーを飲んでいた彼が、ぴたりと動きを止めた。心底びっくりした、って表情。
「もちろん。出会い系サイトとか、マッチングアプリって遊びの相手を探すところだと思ってたけど……本気でこの人が欲しいって思っちゃったんだもん」
そう、この人が欲しいと思ったのは本当。顔を合わせた瞬間、そう感じた。
「嬉しいよ、これからよろしくお願いします」
彼は律儀に頭を下げて挨拶をしてくれた。

そしてそれから――自分でもびっくりするくらい、のんびりと誠実に彼とのお付き合いを継続したあたし。
クリスマスも近くなってようやく自分の部屋に引っ張り、いえ、ご招待した。殺風景なマンションだと引かれるかな、と思い、とりあえずクリスマスツリーとリースを用意して、飾りつけ。なんか不細工で今にも倒れそうだけど、まぁいいか。
テーブルには、料理教室で習ったクリスマスディナーを並べる。
夕方、彼がはにかみながらやってきた。
「メリークリスマス!」
ぎゅっと抱き着いて、彼の頭にサンタ帽をのせる。なかなか可愛い。
「きみは? 被らないの?」
「あたしのも、ある!」
自分もサンタ帽をかぶって、スマホで記念撮影。
「さ、食べよ!」
「これ、きみが作ってくれたの?」
「うん」
他愛のないおしゃべりをしながら、あたしたちはクリスマスディナーを愉しんだ。
そして寝室に連れていくなり、あたしは彼にプレゼントを渡した。
「はい、プレゼント!」
「え? プレゼントなら、さっきディナーしたときに、ネクタイもらったけど?」
「うん。それは昼間用ね。最終面接頑張ってね。こっちは、夜のプ・レ・ゼ・ン・ト」
囁きながら、彼の耳をそっと噛み、首筋に舌を這わせる。なんなら、彼の着ているシャツをほんの少しだけ脱がせる。
うん、甘い。美味しい。
彼の喉仏が、上下に動いた。そう、これでその気にならない男はいない。だってあたしは――グラビアアイドル並みの顔とスタイル、その上、男をその気にさせるテクニックをしっかり学んでいる。
「ね……袋、あけてみて」
「あ、ああ。開けさせてもらう……よ?」
語尾が疑問形になった。
戸惑う彼が取り出したものは――サンタの衣裳。あたしより年上であるはずの彼が、きょとんとした。あどけなくて、可愛らしい。
「サンタさん?」
「うん」
「俺が、サンタさんの格好するの?」
「そうよ」
「君じゃなくて?」
「今日はクリスマスだからコスプレして楽しもう。ね? あたしもミニスカサンタコス、するから」
なっ、なんだと!? と彼が前のめりになった。
「ミニスカサンタ? 君が?」
「駄目、かな……?」
いそいそと着替えて見せれば大抵の男は……ってもういいか。
だらしない顔になって、鼻息が荒い。
やはり彼も、もれなくそのタイプ――っていうか、そんな男を、選んでるんだけどね。
着替えたついでに、香水もちょっと多目にふってみたので、それをさりげなく嗅がせる。ちょっとイケナイ薬物を混ぜた――秘密の調合。
「どう、かな……」
「イイよ……」
「ちょっとスカート短いし、胸も……」
恥じらってみせるのも、忘れない。理性的な彼には多少の演技も……いらないっぽい。鼻息が……それに涎! やばい、薬が効きすぎたみたい……。
「すごく……可愛いよ……おいで……」
【続きは製品でお楽しみください】

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