復讐を誓った転生王女はアリアをうたう【3】~一緒になれるまで何度でも(1)~

【書籍情報】

タイトル復讐を誓った転生王女はアリアをうたう【3】~一緒になれるまで何度でも(1)~
著者酉埜空音
イラスト風街いと
レーベルヘリアンサス文庫
価格200円+税
あらすじベラルの町で殺人事件はまだ終わらない。美貌の殺人鬼バーバラと彼女を見張ることになった近衛兵のアラン、ふたりはどんどん惹かれあってゆく。
だが牢番と囚人では一緒になれることはなく――。外伝SS集。

【本文立ち読み】

復讐を誓った転生王女はアリアをうたう【3】~一緒になれるまで何度でも①~
[著]鳥埜空音
[イラスト]風街いと

目次

外伝1 エミリアの見る夢
外伝2 宰相の見る夢
外伝3 アランの見る夢
外伝4 塔は見ていた

 

外伝2 宰相の見る夢

今まで、自分の思い通りにならないことはほとんどなかった、と、宰相は自負している。
欲しいと思ったものは、誰かに与えられなければ自力で手に入れてきた。手に入れることが可能だった。
しかしここへきて、それが思うように運ばなくなってきた。
宰相が欲しいものは、玉座だ。いや、自分が玉座に座れなくても構わないのだ。我が子を玉座に座らせて摂政として背後から操るという手もある。
「とにかく、あの王女さえ手に入れば……」
若く美しい王女・エミリア。彼女を自分の思うとおりに動かせれば、物事はすべて順調に運ぶ。
だから、エミリアに執着した。エミリアを手に入れることだけを、考えた。
しかし、彼女は宰相が差し出した手をはねのけた。
「わたしに逆らった、罰だ」
王女の二十歳の誕生日を祝うパーティーで、ワインに毒物を仕込んだ。それを煽った王女が床に崩れ落ちたのを見た瞬間、思わず笑みが浮かんだ。
「言うことを聞かない子は、いらないのだよ」
しかし何か言いたげな強い瞳に射抜かれ、ぞくりと震えた。

◇ ◇ ◇

この国の正統な王位継承権は『現王の血を引く男子。または、血族の男子』に与えられる。
正妃の子である皇太子・カイと第三王子、側室の子であるが第二王子のティーの三人。彼らに子ができればその子供たちも王位継承権を与えられる。
そして、もう一人。
「エミリア王女自身には継承権はないが、王女の子には継承権が与えられるのだよ……」
現王が亡くなったあとは彼女の兄が即位するため、やはり、継承権は残る。
エミリア王女に男子を生ませてその子を玉座につければ、自分は王の父となれる。
もちろん王都に出れば他にも王の子は数多いるだろうが、魑魅魍魎渦巻く後宮にわざわざ名乗り出てくる女はいない。
いや、万が一いたとしても、後宮にいる女たちによってあっさり駆逐されてしまうだろう。
そんなどろどろと淀んだ空気の後宮にあって、はつらつとした健康美とでもいえばいいのだろうか。
エミリアはいつも、清らかで煌めいていた。
清らかだからこそ、目障りだった。
いつもいつも、宰相のやることに反発して恥をかかせる可愛げのない王女をねじ伏せて、屈服させたいと思っていた。
だから、彼女が懇意にしている遊郭を使って彼女を傷つける方法を思いついたときは、飛びあがるほどに嬉しかった。
「これであの王女は、わたしのものになるぞ!」

計画したとおりに、王女は宰相のモノになった。無理やりその体を開き、若い肉体に快楽を叩き込んだ。みずみずしい肉体を思いのままに出来て満足だったが、しかし彼女は決して自分に屈しなかった。
処女をささげた相手と結婚するという奇妙な王宮の風習を盾に結婚を迫れば、彼女は渋々ながらも頷くと思った。
「それなのにっ!」
王女はまたしても、宰相を拒んだ。何度裸に剥いて貫いても、何度スカートをたくし上げて弱いところを突いても、快楽に溺れることもなければ求婚に頷くこともない。
「なぜだ! なぜ妻になるといわないのだ! わたしのものになると返事をしないのだ! お前のここは、いやらしく濡れてわたしを受け入れているのだぞ」
だからどうしたのだ、と、ベッドにねじ伏せたエミリアの醒めた目が問う。
「わたくしがお前に体を差し出せば、スラム街再開発を一時中止するというから、差し出したまで。お前の妻になるなど、論外だ」
「なんだと……? お前のここは、きゅうきゅうと締め付けて悦んでいるというのに」
「喜びなど全くない。さぁ、気が済むまで行為を続けるといい」
宰相は、唐突に気が付いた。この王女は、誰かほかの男を愛している。
「王女よ……」
長い髪を引っ張って顔を上に向ける。美しく、気が強い。
「う……」
「誰を愛しているのだ?」

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